第27話 マルチがけの職人たち

いよいよ『ようじろう農園(旧PORT農園)』の活動スタート!

例年はゴールデンウィーク明けに活動開始となるのですが、今回は土づくりから参加者の皆さんに体験してもらいたいと思い、4月末からのスタートとなりました。

もともと、ラジオの企画としてはじまり、リスナーの皆さんと一緒に土いじりをし、夏野菜の収穫に向けて汗を流してみましょう!というコンセプトで続けてきたのですが、残念ながらラジオ局の閉局とともにこの企画も終了。

去年の今ごろは「農園企画は終わっちゃったな……」

と肩を落としていました。でも、参加してくれた方数名から、「農園はどうなるのですか?」「ぜひまた参加したいです!」というお声をいただき再開。FM PORTが遺してくれた財産として、農園企画は今年も10人ほどの参加者とともにスタートしました。

管理人としても、ひとり孤独に耕運機を動かしているよりも、野菜作りの仲間が集まってワイワイやるのが楽しい。先日も皆さんと顔を合わせて、一緒になって鍬を動かし汗を流し、おしゃべりもはずみ、初日はあっという間の1時間。

コロナの影響もあってかあまり人と接する機会が少なくなってしまった分、参加者の皆さんと顔を合わせたときのワタクシの喜びよう。いつになく饒舌になっておりました。

とは言っても、そこは真剣勝負な農の世界。四六時中しゃべり続けているわけではない。

おしゃべりしながらでも鍬は動かせるので、おしゃべりを楽しみながらも農作業は進めていけるのだが、ある瞬間、みな寡黙になる。そう。今回のミッション『マルチがけ』だ。

幅60センチの畝に黒いビニールのシートをかぶせていく。

この黒いビニールシートを『マルチ』と呼んでいるのだが、黒いビニールが太陽の光を受けて土の温度を上げたり、殺虫、殺菌の効果をもたらしたり、雑草を抑制するなどのいろいろな働きがあり、マルチがけは種まき・苗植えの前に行う野菜作りの重要な工程の一つである。

3人一組になって、一人がビニールシートを伸ばしていき、あとの二人で両サイドに土を盛ってビニールが飛ばされないよう固定させていく。

このときビニールシートがまっすぐになるよう慎重に伸ばし、両サイドの二人は呼吸を合わせながら土を盛る。どちらが先へ進んでもいけないし、後れを取るわけにもいかない。テンポよく、かつ丁寧にマルチがけを進めていく。

農園活動3年目。みな手慣れたものである。職人の顔つきになり、黙々と手を動かしていく。そして、まっすぐに張ったマルチを見てニヤリと納得の表情を浮かべるのだ。

マルチがけがうまくいくだけでも、その達成感はハンパない。

(2021.04.30:コラム/遠藤洋次郎)