『聖護院かぶ』とはどんなカブなのか?
京野菜の一種で、京都の伝統野菜。大きくなると重さが5キロほどにもなる、日本最大級のカブである。と紹介されてあった。
そんな『聖護院かぶ』を育ててみよう!と、この秋に種まきし、生長を見守っていた。
芽が出て葉が伸び、白いカブの姿が土から顔をのぞかせる。うんうん順調に育っている。
少しずつ風が冷たいと感じるようになったころ、そろそろ収穫してもいいのじゃないか?と思い、そっとカブの葉に手を伸ばしたところ、一緒に農作業をしていた農園の参加者の方から、「まだですよ!まだ大きくなりますよ!」と諭された。
スーパーや青果店に並ぶカブの大きさはこんな感じだし、土の上に顔を出しているカブの白も十分美しい。食べごろかと思ったのだが、まだまだ大きくなるという。伸ばした手を慌ててひっこめた。
実はこの『聖護院かぶ』がどんなカブなのか知らなかった。姿を見たこともないし、もちろん食べたことがない。
つまり、このカブの完成形がどんなものなのか分からないのである。
参加者といっしょに土いじりをする旧PORT農園では、今まで見たことも食べたこともない野菜を興味本位で植えてみることがある。
以前も『コールラビ』という野菜の種をまいてみたのだが、参加者の誰一人として、この野菜がどんなかたちで、どんなふうに生長し、どうやって食べるのか知らなかった。もちろん『コールラビ』の完成形がどんなカタチで、どのタイミングが食べごろで、いつ、どうやって収穫するのか、まったく分からなかった。
この『コールラビ』、見た目も球体からニョキニョキと触手を伸ばした地球外生命体のような形をしていて、何とも奇妙である。収穫したものを持ち帰ってもらったが、参加者の皆さんがどのようにして食べたのか、その報告は私の耳には届いていない。
そして『聖護院かぶ』である。先月、晴れの日に収穫してみた。
引っこ抜いてみて驚いたのはその大きさ。本当に子どもの頭くらいの大きさ、直径15センチから20センチくらいのまん丸なカブがいくつも採れた。土から引っこ抜いたとき、掌に伝わるズシリとした重さも感動もの。参加者の皆さんからも歓声が上がった。
実際、みそ汁の具として食べやすい大きさにカットした『聖護院かぶ』を食べてみたけれども、風味、食感ともに普段食べているカブと同じくらい、いやそれ以上に美味であった。
今まで見たことも食べたこともない野菜を育ててみる。それもこの農園での『挑戦』として、これからも続けてやっていきたいと思う。来年は何を育ててみようかな?
(2021.12.15:コラム/遠藤洋次郎)