先日、近所の小学校から『職業講話』をお願いしたいと、そんなお話をいただいた。
6年生の子どもたち100人の前で、私の仕事について、内容はもちろん、やりがいや大変なこと、どうしてその仕事をしようと思ったのか、など30分ほどのおしゃべり。
私のメインの仕事は『声』を使った仕事なのだけれども、6年生に向けて『農業』についても少し触れたいと思い、シナリオの中に畑仕事についても盛り込んでみた。
結論から言うと、今自分は『声』の仕事と『畑』の仕事と二刀流で頑張っていますと、話題の大谷翔平選手の活躍に絡めて話をし、6年生に向けてもいろんなことに興味を持ってチャレンジしてほしい。そんなメッセージを伝えたつもりだったけど…う~ん。届いたかな?
30分しゃべって、残りの15分ほどは質問タイム。子どもたちからたくさんの手が上がり、たくさんの質問を受けた。その中には農家の仕事についての素朴な疑問もいくつか。
「畑仕事の楽しさはどんなところですか?」「畑仕事の大変なところは何ですか?」
「ぶっちゃけ儲かりますか?」などなど。
素直な6年生の子どもたち、ここは神対応を心がけよう!そう思って私も素直に子どもたちの質問と向き合った。でも思い返してみると自分の答えはなんだか優等生な答えだったな…と後悔がつのる。なので、今日はこのコラムで自分の本音を記しておこうと思う。
【畑仕事の楽しさについて】
優等生回答「僕のやっているのは体験型の農作業なので、参加者の皆さんと楽しくおしゃべりしながら土いじりをしているのが楽しいです」
本音「参加者の来ない日は、基本、ひとりぼっちで作業しているのでさみしい。野菜たちや農機具に話しかけていて、それを楽しいと感じているさみしい男です。」
【大変なところ】
優等生回答「夏の暑い日は本当に大変。ここのところ夏は異常な暑さになるんで、早起きをし、涼しい時間に畑に行っているので、早起きが大変です」
本音「暑いのも大変だけど、草刈りして腰を痛めたり、誤って車の中に鶏糞をぶちまけたり、収穫間近の野菜をネズミに食われたりで、もう散々です。」
【儲かりますか?】
優等生回答「工夫やアイデアで美味しい野菜をたくさん育てている農家さんは儲かっているかもしれないですね。でも儲けることももちろん大事だけど、自分の育てた野菜を収穫していろんな人に食べてもらうのは素直に嬉しい。やりがいがあるなと感じますよ。」
本音「儲かってたらみんなやってるんじゃない?疲れるし、お金も時間もかかるし…」
6年生の子どもたちはこのコラムを読まずに、私の優等生回答をしっかりと受け止めて、土に触れること、野菜を育てることの魅力を感じてもらいたい。
そして自分の保身のために言うけれども、優等生回答も本音である。
(2021.12.24:コラム/遠藤洋次郎)