第24話 調理してしまえば

はからずも、ひと冬超えてしまったハクサイとブロッコリー。

気候も穏やかになり、春の日差しが降りそそぐようになったころ、白菜は丸くなることはなく、大きく葉を広げ、菜の花のような黄色い花を咲かせていた。ブロッコリーも放置して育ちすぎたのか、ボンバーヘッドなアフロのようになってしまっている。

さてどうしたものか。

農園の参加者が集まって、みな一様に頭をひねる。

「食べられるのか?」

不思議に思うのも当然だ。だって、スーパーに行っても青果店に行っても、こんな姿のハクサイやブロッコリーを見たことがない。

「食べてみましょうか…?」

おもむろに参加者の一人がそう言うと、ハクサイ(らしきもの)とアフロなブロッコリーの収穫が始まった。

かごいっぱいになったハクサイ(らしきもの)とアフロなブロッコリーを持ち帰ってもらったのだが、参加者のみなさんはどんなふうにして食べたのだろう。

我が家ではハクサイ(らしきもの)の葉っぱの部分と花をつけそうな先っぽのやわらかな部分とを刻んでオリーブオイルで炒め、茹でたパスタに和えてみた。

味付けは簡単な塩コショウ。

するとどうだろう。葉っぱの部分の食感は間違いなくハクサイであり、炒めたことによって花の部分の黄色が鮮やかになり、お皿に盛りつけたパスタに見事な色合いを加えていた。

一方、アフロなブロッコリーは細かく刻んで、ポトフ風に煮込んでみた。

固形のコンソメを入れ、ニンジン、タマネギ、ベーコンなどといっしょにじっくりと煮込む。

するとどうだろう。ブロッコリーはホロホロの食感になり、口に入れた途端に溶けてなくなってしまった。そして、寒い雪の下でじっと耐えていたからか、甘みが増していて、一口食べると野菜の旨みがスーと鼻を抜けていく。

「あれ?これ…美味しい!」

昔から食レポが苦手なのでこの味わいを表現するいい言葉が出てこないのだが、見た目や形がハクサイのそれでなくても、味はしっかりとしたハクサイだし、甘みを増したブロッコリーは煮込んだことでさらに風味を増したような感じがする。

どんな姿の野菜であっても、切って刻んで、煮て炒めてしまえば美味しく食べられる。

うちの農園の収穫の基準は「おいしそう」よりも「食べられそう」になっているような気がしてならないが、まぁ…それも…食品ロス問題の解消、と言うことにしておこう。

(2021.04.09:コラム/遠藤洋次郎)