第44話 『園芸療法』のおかげ

30代は無理をしていたんだろうな、と思う。

仕事も忙しかったけれども、よく飲みにも出かけていた。家で晩酌することはあまりないのだが、その反動なのか、外で飲むと限界突破してしまう。

体力もあったのだろうけれども、そういう飲み仲間との時間が楽しかった。

仕事内容も変わり、コロナの影響もあってそう頻繁に飲みに行くことはなくなったけれども、飲みの席は楽しい。

あの頃は体も悲鳴を上げていたのだろうと思う。健康診断でも『軽肥満』『高血圧』『血糖値』『腎臓』の項目でよろしくない判定を出していた。

『要生活改善』と言われていたけれども、何をどう改善したらよいものか。健康診断の終わったその足で、濃厚スープが売りのラーメン屋に行くのが常であった。

そして40代。まさかまさかの農業従事者になり、生活サイクルは逆転。日によっては朝の3時4時までほっつき歩いていた私が朝4時に目を覚ます生活。

唐揚げ、フライドポテトをキンキンに冷えたハイボールで流し込み、〆のラーメンは欠かさない、と言った食生活から、朝採ってきたトマトにかぶりつき、ピーマンの炒め物、ナスの味噌汁、そして新潟産のコシヒカリ、食後は緑茶で一息、なんていう食生活に様変わり。

そしてやってきた健康診断の日。

『軽肥満』『高血圧』『血糖値』『腎臓』どの項目も判定は『A』

個人的に一番驚いたのが血圧の値である。

上が140台をたたき出すこともあり、担当の看護師さんから「もう一度測りますね」と言われ2度3度、血圧を測られた。若い看護師さんに手を握られてドキドキしたから血圧が上がったに違いないと、そう信じていたけれども、機械で測っても数値は高いままだった。

それがこの間の健康診断では120を切り、機械で測ったら100を切っていた。

土に触れることでストレスが軽減される『園芸療法』というものがある。『アグリヒーリング』とも言うらしいが、血圧の数値が下がった一因には、畑での土いじりの日々が影響しているんじゃないかと思ってしまう。

いろいろ調べてみると、農作業をするとストレスホルモンが軽減され、幸せホルモンであるオキシトシンの上昇も見られと言うのだ。

さて、今日も野菜作りにいそしみたっぷりと汗をかいた。きっと体の中を幸せホルモンが大放出されているに違いない。

それでは今夜は、唐揚げをつまみにハイボールをいただこうかな。

うん、さらに幸せ~

(2021.09.24:コラム/遠藤洋次郎)