自分はそんなにおしゃれじゃないけど、一応の身だしなみには気をつけているつもりだ。
ただ、なかなかドレスコードが分からず、『ラフな格好で』と言われると、何を着ていけばよいのか分からない。
襟付きのシャツの方がいいのか?とりあえずジャケットは着ていくか。まぁスーツで行けば問題ないだろう。そう思ってスーツ姿でスキーのゲレンデに行ってしまったこともあるし、重い荷物を運び出す肉体労働をしたこともある。明らかに場違いな格好だった。
おしゃれかどうかは置いておいて、何を着るかで気持ちにスイッチが入ることがある。ビジネススーツを着れば身の引き締まる思いがするし、体を動かすときスポーツウエアに身を包むと「よし動くぞ!」と言う気になる。
農作業に特化したファッションもある。
『農作業を楽しく、カッコよく』そんなうたい文句で、サロペットやつなぎの上下、日よけの帽子や長靴まで、おしゃれなものが紹介されている。
「いやいや、どうせ泥で汚れるんだし、シミのついたシャツと学校ジャージでいいじゃん。誰に見せるわけでもないし、汚れてもいいかっこうで十分。農業におしゃれはいらないね。」
なんて思っていたのだけれども、ようじろうおじさん、最近色気づいてきた。
農作業着を着ているモデルさんがカッコイイのだ。
その手のサイトを見ていると、機能性はもちろん、見た目にもおしゃれな作業着が多く紹介されている。ちょっと前までは何となく野暮ったい感じに思えた農作業着も、すらっとしたモデルさんが着ているとあら不思議、カッコイイのだ。
そんなわけで、リーズナブルなお値段のサロペットと、青色のつなぎを購入してみた。
足元の裾の部分がだいぶダブついているけれども、そこは長靴を履けば隠せる。
そんな自分の姿を鏡に映してみたけれども、あら不思議、野暮ったい。
無精ひげをはやしたまま、麦わら帽子をかぶって、鍬を手に持ち、もう一度鏡を見る。
「うん、この姿はどこかで見たことがある…。なんだろう、この既視感。その昔、お菓子売り場にならんでいた…そうだ!カールおじさんだ!」
モデルさんのそれとはだいぶ違うけれども、見た目はすっかり農夫である。
最近はこのスタイルがお気に入りだ。畑仕事へのスイッチが入る。
何だか気持ちがのらないときは、カタチから入るということも大事だと思う。
そんな農作業のスタイルを、『ようじろうファーマーズフォーム』と呼んでいる。
(2021.06.04:コラム/遠藤洋次郎)