第12話 シーズン前のワクワク

2021年の幕開けは、大雪に見舞われた新潟。

寒波の到来で風も強く吹き、ブドウの木が植えてあるビニールハウスのビニールが破れてしまいました。なんともトホホな新年のスタート。
そんな中でも、今年はどんな野菜を育ててみようか…と思いを膨らませている1月。

この時期は今年1年の『野菜作り計画』をざっくりと立てることにしている。
雪が解けたら耕運機を動かして土づくり。
畝をつくって、種を蒔いて。
そうそう、いろんな野菜の苗づくりも。
大好物のエダマメをたくさんつくりたい。
今年こそはトマトづくりを成功させたい。
珍しい野菜も作ってみたい。
実はこの、野菜作りのイメージを広げている時間がけっこう楽しい。

春の日差しを一身に浴びて、思いっきり土のにおいを嗅ぎ、日ごろの運動不足解消にと鍬をふるい、気持ちの良い汗をかく己の姿を想像する。
水やりや手入れはちょっとメンドクサイな…と思うけど、芽が出て、花が咲いて、実をつけて。採れたての野菜を口いっぱいにほおばる己の姿を想像する。
ほら、楽しそうでしょ?

突然話は変わるが、私の愛読書の一つに『選手名鑑』がある。

プロ野球、Jリーグ、高校野球、大学野球、箱根駅伝などなど。
スポーツ観戦に必携の選手名鑑は、毎年購入し、ひいきのチーム、注目の選手の情報を一つ一つ拾い上げていく。
いよいよ開幕するぞ!というその直前に、丸一日かけて選手名鑑を熟読しながら自分の気持ちを高めていく。ワクワクを募らせていくのだ。そして選手名鑑と同じように、この時期『種カタログ』を熟読している。

『トマト』だけでも大玉、中玉、ミニトマト。
真っ赤なトマトにオレンジ色のトマト。
甘みのあるもの酸味のあるもの。
トマト料理のレシピも紹介されていて、カタログに載っているトマトの種は30種類を超えている。

白いナス、紫色のオクラ、中が黄金色のハクサイ、黒い粒のトウモロコシ。カタログには見たことも食べたこともない野菜の種もずらりと並んでいる。

「どうやって育てるの?」
「どうやって食べるの?」
「そもそもこれ美味しいの?」

種カタログを見ているだけで、いろいろと好奇心が湧いてくる。

今年はどんな野菜たちとの出会いがあるのか。
また、畑仕事を通してどんな発見があるのか。
失敗することなど考えもしない、ようじろう農園シーズン前のこの時期は、1年で最もワクワクする時期である。

(2020.01.15:コラム/遠藤洋次郎)