第2話 エダマメでハーレム

エダマメに完全に胃袋をつかまれた!

新潟は食の宝庫。
もちろん『コシヒカリ』はその代表格だが、それぞれの市町村に、特色を持った美味しい食材があふれている。
東京へ帰れなくなってしまった原因の一つにこの新潟の『食』の豊かさがあることは否定できない。

なかでも『エダマメ』である。

新潟はエダマメの作付面積全国1位。
にもかかわらず、出荷額は全国7位。
つまり、新潟の人はつくったエダマメを独りじめする傾向にあるといえるだろう。
これは、私の居酒屋での注文の仕方にも当てはまる。
エダマメ一皿を、みんなでシェアすることはない。
一人一皿。
私の目の前に、エダマメ一皿がないとどうにも落ち着かない。
そして、黙々と食べながらビールを流し込む。至福の瞬間だ。
ああ、もう…
こうやって『エダマメ』と書いているだけで、唾液がたまってくる。

「新潟のエダマメは美味しい。それならば、自分でエダマメを育てればいいんだ!」

というわけで、農業を始めてから毎年エダマメを育てている。
さまざまな種類のエダマメは、その名前もユニークだ。

以前、ラジオの番組で農業に関するクイズを出題するというコーナーをやってみた。
その時出した問題。

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【ようじろうが今年育てたエダマメは次のうちどれ?】

1、越後姫
2、ゆあがり娘
3、ようじろうの嫁
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正解は2の「ゆあがり娘」

何とも艶っぽい、むしゃぶりつきたくなる名前じゃないか!
他にも「弥彦娘」「おつな姫」など、女の子の名前がついているものも多い。

その時、リスナーから、
「『ようじろうの嫁』を育ててみてはいかがでしょう?」
というメッセージが届いた。

「きっと『ようじろうの嫁』は実がふっくらしていて、甘みもあり、ナイスバディのエダマメに違いありません!」
もちろん『ようじろうの嫁』という品種はないが、来年はぜひ、実がふっくらしていて、甘みもある、ボンキュボンキュボン(豆は3つ)のナイスバディのエダマメを作ってみたい!

ついでに『ようじろうの恋人』『ようじろうの娘』『ようじろうの愛人』もつくって。
エダマメに囲まれたハーレムをつくるのだ!

(2020.10.30:コラム/遠藤洋次郎)