第17話 ニヤケがとまらない!?

本当は1月中にやっておきたかったブドウの剪定に、先日ようやく着手した。

いよいよ2021年農作業シーズンのスタート!である。

秋の味覚の代名詞『ブドウ』銘柄は『巨峰』

ハウスには2本のブドウの木があり、農作業を始めるにあたってこのブドウの管理も手掛けるようになった。
先代が大切にしてきたブドウの木なのだが、正直なところ、ブドウ栽培のノウハウは全くわかっていない。冬の間に剪定をしなければならないことはわかっていたけれども、どのように枝を切っていのかもよくわからない。

しかも今年は雪が多く、ハウスへの道は閉ざされ、雪が解けてもあまりの寒さに、ハウスへ行くのもめんどくさくなっていた。

「やらなきゃ…やらなきゃ……」と思いながら1月が過ぎ、その間も一応、動画や本、ネットでブドウの栽培方法について勉強していたけれども。
それでも剪定の仕方はよくわかっていない。

そもそもなぜ、冬の間にブドウの枝を切っていかなければならないのかというと、前にもちょこっとコラムで書いたが、ブドウの木もジッとしているようで、実は花を咲かせ実をつけるための準備を冬の間にしている。

枝が伸びすぎていると、伸びた先の枝にまで養分を送らなければならないので、たくさんの養分が必要となる。枝が短いと、花を咲かせ実をつける養分をより多く供給することができる。つまり、みずみずしくて美味しいブドウの実をつけるには、冬の間に枝を切り落としておかなければならない。

剪定の仕方が良く分からないままはじめた昨年の剪定作業は、戸惑いやためらいも多く、多くの枝を残してしまったように思う。もちろんたくさんの実はついたし、おかげさまで味の評価も高かったのだけれども、実をつけすぎたと反省している。

なので、今年は思いっきって剪定してみた。

昨年と比べれば収穫の量は少なくなるかもしれない。でもその分、味の良いものをつくりたい。食べてくれた人が「美味しい」と思ってもらえるブドウをつくりたいと、農家としてのクリエイター魂に火がついた。

いくらで販売しようか?どうやって販売しようか?そんなことも考えながらの剪定作業。頭の中では「チャリンチャリン」とお金の落ちていく音が響く。顔のニヤケがとまらない。

いやいやそれは、ちゃんとブドウが育ってからの話であって……。

今年も秋に、無事にブドウが実をつけてくれることを心待ちにしている。

(2021.01.2.19:コラム/遠藤洋次郎)