カレンダーを見てみると、今年も残すところあと3ヶ月。
店先にはハロウィングッズが並び、それが終わればクリスマス、お正月と、商品の入れ替えが忙しい。夏が終われば秋冬の準備。秋が終わればもう来年のことの準備に取りかからなくてはならない。
書店や文具店に行くと来年のカレンダーや手帳が積まれている。
私は1月スタートの、やや大き目なビジネス手帳を毎年買って使っている。営業マンの頃から慣れ親しんでいるサイズの手帳で、企画の締め切り日や訪問先の時間などを記していたけれども、最近の用途は主に農作業の記録。
『今週は○○の種をまく』『肥料を購入する』などの備忘録として使っている。
営業マンの頃と比べれば、予定はスッカスカなので、大きなサイズの手帳である必要はないのかもしれないけれども、大きい手帳を持ち歩いていると、自分がなんだか“できる人”に思えてくるのだ。
毎年「早く手帳を買わなきゃなぁ」と思いながらモタモタしている間に年を越えてしまっているのだが、今年は違う。手元に来年の手帳を準備している。
これまでの農作業は『雰囲気農業』だった。
なんとなくこの時期に種をまいて、なんとなく肥料をまいたり雑草を刈って、なんとなくこのあたりの日程で収穫できたらいいなぁ…と言う、ふんわりした感じで、具体的な計画など立てていなかった。
そんないい加減なものだったから作業を忘れてしまうこともあり、雑草は伸びに伸び、追加の肥料をまくタイミングを間違え、収穫の時期を逸してしまうことも多々あった。
その反省から、今回はしっかりとした『営農計画』を立てようと、早めに手帳を購入してみた。
この秋に植えたタマネギやニンニクは畑の中で冬を過ごす。計画通りにいけば春に収穫ができる予定なのだが、その間に追肥の作業をしなければならない。
この追肥の作業のタイミングがよく分からない。それじゃあって言うことで、早速来年の手帳に追肥や収穫、農園の作業スケジュールを書き込んでみた。
書き込みながら、冬を越えて暖かくなった新潟の春の日に思いを馳せる。
明日のことなどわからない。その日その日をなんとなく生きている、行き当たりばったり、人生ノープランだった自分が、こんなふうに野菜作りを通して先のことに思いを馳せるなんて、ちょっとびっくりする。すっかり野菜たちに振り回される日々だ。
新しい手帳に『この日はデート』と書き込みたいけど、残念なことにその予定はない。
(2021.10.08:コラム/遠藤洋次郎)