第52話 ハクサイの中に潜んでいます

 ハクサイの収穫がスタート!

夏に植えたハクサイが大きくなって、ぎゅっと身も締まり、昨年以上の良い出来のハクサイが穫れました。

 今年のウチのハクサイはしっかりと結球し、大きさもラグビーボール大に成長。頭の部分をグッと手で押してみると、ずっしりとした感触が伝わってくる。このずっしりとした感触が身のしまっている証拠。さぁ、今夜は鍋とまいりましょうか!

 スーパーの店頭にも、鍋スープのコーナーが充実してきた。そんな光景を目にすると、

「ああ冬なんだな」と思うのだけれども、昨今は鍋スープの種類の多さに驚く。

定番のちゃんこ鍋、キムチ鍋。変わり種のカレー鍋、チーズ鍋、豆乳鍋。

魚介出汁のきいた鍋、塩麹を使った鍋。味噌、塩、しょうゆ、とんこつスープと、どれも美味しそうで目移りしてしまう。

 いろいろな味を試してみたけれども、今回はハクサイにピッタリの鍋スープがいい。

今回選んだのは味噌ベースのスープ。ニンニクの風味も効いていて食べれば体が温まる。ハクサイをメインに豚肉、ニンジン、豆腐。そこに油揚げと春雨を入れたい。ついでに缶ビールを1本。

 家に着くなり鍋を用意し、さっそく味噌ベースの鍋スープを投入。味噌の風味も漂ってくるが、それ以上にニンニクの香りが沸き立っている感じがする。まぁ、今日はもう誰とも会うことはないから、口がニンニク臭くなるのも構わない。

煮えにくい野菜から鍋に入れていき、豚肉、豆腐を投入。

 そしてメインのハクサイ!

 丸々1個使うにはちょっと量が多いので、必要な量の葉を1枚1枚丁寧に取っていき、食べやすい大きさにカットしていく。

1枚、1枚とはいでいく中に、いましたね。腹ペコアオムシ。

 あまり農薬を使わないようにと思っているけれども、油断していると葉っぱが全部アオムシに食べられてしまう。その対策にと、苗を植えるときに多少の殺虫剤を使っている。その効果もあって葉っぱの食べられる被害は少なかったけれども、アオムシが一匹、葉っぱの陰に潜んでいた。

 ほんとに小さな小さなアオムシ。出てきた瞬間に「おっ」と思わず声が出てしまう。こっちも驚いたけど、向こうも驚いたに違いない。

寒くなってきたから葉っぱのスキマに隠れてぬくぬくとしていたのだろう。見つかった瞬間にくねくねと体を動かしてもがいている。

 と、結局アオムシの話になってしまったので、鍋の感想はまたの機会に。

(2021.11.19:コラム/遠藤洋次郎)

第51話 芋ほりは楽しい

 今日は、先日行った芋ほり大会の模様をご紹介。

 芋ほりのタイミングはなかなか難しい。

 蔓から葉っぱがたくさん伸び、元気な様子は外から見てわかる。でも実際の芋は土の中。土の中で芋たちがどのくらい大きくなっているのかは、掘り出してみるまで分からない。

 ふと、昨年のダイコン不作のことを思い出す。

 土から顔をのぞかせている部分は、葉も青々と茂り、首の部分も大きくなっている。

 葉っぱの様子を見ながら、今だ!と言うタイミングで引っこ抜いてみたけれども、ダイコンは簡単にスポッと抜けてしまった。

土の中ではそんなに大きくなっておらず、背丈の短いものばかり。

「ダイコンを植えたはずなのに、出てきたものはカブみたいだな……」

 原因はいろいろ考えられる。土の栄養が足りていなかったとか、土が固かったとか、土に潜む菌や微生物が生育を妨げていたのではないか?とか。

 ダイコンいっぱいのホクホクおでんを楽しみにしていたのだけれども、これだとおでんは夢のまた夢。美味しくいただいたけれども、あの時の落胆ぶりやいかに。残念な気持ちばかりが膨らんでいた。

 さて、芋はどうだろう?昨年のダイコンのように、掘り起こしてみたけれども何もなかったなんてことになってはいないか?

 イロドリのスタッフの皆さんも、お手伝いに来てくれる人たちも、そして、子どもたちも、期待に胸を膨らませているに違いない。

 そしていざ、芋畑へ。

スコップを片手に子どもたちが畑に散らばり、丁寧に土を掘っていく。

するとどうだろう、あちこちから子どもたちの歓声が聞こえてきた。

「あった!」「ここにいる!」「うおお!でけえ!」「キャー虫っ!」

明るく元気な声。

「こんなでかいのとれたー!」

がんばって掘り出した芋を両手に抱えながら、見せに来てくれる子もいる。

和気あいあいとして雰囲気で芋ほりの作業は続いたけれども、次第に真剣に芋と向き合い寡黙になる子どもも。

そして大人たちも慣れない土いじりに悪戦苦闘。

吹き出す汗をぬぐいながらたっぷり1時間。出てくる出てくるたくさんの芋、芋、芋。

 ありがとうサツマイモ。子どもたちの喜ぶ顔を見て、ホッと胸をなでおろす私。頑張って育ててきたかいがありました。

そして素直に思う。芋ほりは楽しい!

(2021.11.12:コラム/遠藤洋次郎)

第50話 長靴の思い出

 今年の春に買った農作業用の長靴に穴が開いてしまった。

 ホームセンターにずらりと並んだいろんな種類の長靴。その中でも今回は中ぐらいよりちょっと高めの長靴を買ってはいていたのだけれども、残念ながら1年もたなかった。

 ぬかるんだ畝の中を歩いてみたり、暑い日も寒い日も、風雨にさらされても耐えてきた長靴は、確かに消耗品なのかもしれない。

でもこの1年、ともに土の中で戦った戦友みたいなものだ。

 劣化が早いのは、屈伸したりして長靴に皺のよるところ。足首のところだったりつま先のところだったり、負荷のかかるところは生地の損傷が激しい。

 はじめは穴の開いていることに気がつかないのだけれども、水を撒いているときに靴下が濡れていたり、長靴を脱ぐと土や砂がポロポロと落ちてきたりすると、どこかに穴が開いている。調べてみると小さな亀裂が数か所できていた。

 穴あきの長靴には苦い思い出がある。

 田植えをする前のまだ冬の寒い時期。近所の農家さんたちといっしょに田んぼに水を引く用水路の清掃をする。用水路に投げ込まれたゴミを拾い上げ、大きなスコップで用水路の中のヘドロや土をかき出していくのだ。

 小雪の舞う季節だった。

 大きなスコップを持って用水路に行き、水の残る用水路の中に足を踏み入れた瞬間、冷たい水が長靴の穴から入ってきて靴下に染みてきた。

 長靴に穴が開いていることなど気づかなかった。よく見るとホントに小さな穴が開いていて、そこから冷たい水が流れ込んできた。

 靴下は濡れ、長靴の中にどんどん水が溜まっていく。

「冷たい冷たい冷たい……」

念仏を唱えるかのように唇を震わせながら、

「よし、今日はこのへんで止めにすっか!」

と言う、リーダーの号令がかかるのをじっと待つほかなかった。

「今年もご苦労様でした~」

と言いながら清掃の後はあったかい缶コーヒーで労をねぎらい、田植えのシーズンに思いを馳せる。しかし、このときばかりは缶コーヒーのぬくもりなど微々たるもの。用水路の水の冷たさに足の指さきの感覚もマヒしている。

『風呂に入りたい。湯船に飛び込んでいきたい!』

 帰宅してお風呂に浸かった時に、足先に血が流れていくのを感じた。

 少なくとも用水路の清掃の前には、新しい長靴を用意しておこうと思う。

(2021.11.05:コラム/遠藤洋次郎)

第49話 季節の移り変わり

ナスとズッキーニ、オクラの畝を片付けて、今年の夏野菜の収穫は終了。

まだ少しトマトとピーマンが穫れそうなので残してあるけれども、夏の盛りの頃と比べたら実も小さなものばかり。

今年も美味しい夏野菜をたくさん収穫できました。

 エダマメの植わっていた場所にはハクサイやカブダイコンが緑の葉っぱを広げている。

 畝を片付けていると、今年の春からのいろいろなことが思い出されてくる。

 ナスやピーマンを種から育てようとポッドに種をまいたのだけれども、一向に大きくならず、結局苗を買ってきて植えたこと。

 ここの畝はエダマメ。ここの畝もエダマメ。ここにもエダマメ。と昨年以上にエダマメ畝を増やして、収穫の時期である夏の盛りを待っていたこと。

そして、ネズミか何かに食い荒らされてしまったこと。

 カボチャの蔓が長く長く伸びていっていたこと。

 水を撒くのを怠った日。熱中症の危険にさらされながら草刈りをした日。

キンキンに冷えたサイダーの美味しさ。

 日焼けするのも気にせずにTシャツ姿で耕運機を動かしていたのに、今は長袖の作業着を着なければ風邪をひいてしまいそうになる。畝を吹き抜ける風もすっかりと冷たくなってしまった。

 農作業をするようになってから季節の変化を肌で感じることが多くなった。サラリーマンの頃よりももっと敏感に、空気の感じや木々の葉っぱ色づき具合、空の色の変化を感じる。

外で作業しているから当然なのかもしれないけれども、季節の移り変わりを感じられるのも、畑仕事をしていての醍醐味なんじゃないかな?とも思う。

 これからどんどん寒さが増してくる。寒くなってくるとハクサイはどんどん甘みを増してくるというし、ダイコンも大きくなっていくから、これからの時期も楽しみ。タマネギやニンニクも冬を越えて大きく美味しくなってくる。

美味しい鍋料理に思いを馳せて冬の寒さを待つことにしよう。

 と言いながら、夏生まれの私は冬が大の苦手。

 嫌だよ、布団の中でぬくぬくしていたいよ。早起きなんてムリムリ。朝の6時なんてまだ日が昇ってきてないじゃん。夜だよ夜!あと1時間寝る。いや、少なくともあと30分!

 こうして自分に甘い人間が、布団の中にくるまって動かないでいる。

そんな季節がやってきます。

(2021.10.29:コラム/遠藤洋次郎)

第48話 リベンジなるか?

 ニンジンの栽培に毎年チャレンジしているけれども、毎年失敗している。

 去年もおととしも植えてはみたものの、芽が出てくるだけで、期待していたニンジンは姿をあらわさなかった。今年も春に植えてみたけれども、生い茂る雑草の中に紛れてしまって、ついにはその姿を見失ってしまった。

 以前購入した家庭菜園の本にニンジンのつくり方が載っていたので、それを見ながら種をまく時期、種のまきかた、水の管理、間引きの時期、一つ一つ確認したけれども、やっぱりできない。どうしたものか。

 そんなわけで、畑で実践する前に、今年はプランターで試しに育ててみよう!と、去年ニンニクを育てていたプランターの土を再利用し、ニンジンの種をまくことにした。

 ニンジンは万能野菜だ。煮ても焼いても炒めても美味しいし、新鮮なものはそのまま野菜スティックとしてかじりついてもイケる。

そして何と言ってもニンジンの葉っぱの天ぷらは絶品だ。

 お店で売られているものは葉っぱを切った状態で売っているけれども、葉っぱは捨てるにはもったいない。油で揚げて、そこにパラパラッと塩をふったシンプルな天ぷら。それだけでお酒がすすむ。

 実はニンジンの葉っぱの天ぷらを食べたのは新潟に来てから。ご近所さんからいただいた採れたてのニンジンで「葉っぱはね~、天ぷらにして食べると美味しいよ~」と言われ実践してみた。味も食感もまったく想像していなかったから、口に含んだ時の「シャワッ」という食感とジワっと口いっぱいに広がってくる風味に思わず目を丸くしてしまった。

「いつか自分でもニンジンを育てて、心ゆくまで葉っぱの天ぷらを食べたい!」

ニンジンそのものよりも葉っぱを採ることが、ニンジン栽培の目的になってしまっている。

 用意したプランターに肥料を入れ、スコップでかき混ぜる。土の中に空気を入れ、肥料もまんべんなくいきわたるように準備する。そこに小さなニンジンの種をパラパラと巻いていき、土はかぶせる程度。でもニンジンは発芽率が非常に低く、温度や湿度の影響を受けやすい。家庭菜園の本にも難易度は「難しい」に分類されている。

 夏の終わりにまいた種がようやく芽を出してきた。芽を出さないところもあるし、期待していたほどの芽は出てきていないけれども、それでもニンジンたちも頑張って芽を伸ばしている。プランターにも生えてくる雑草を指でつまんで除いていきながら、「がんばって大きくなれよ~」と声をかける。今年こそ!リベンジだ!

 で、じっくりとプランターをのぞいて見ると、おやおや?ニンジンではない芽がひとつ。

土に残っていたと思われるニンニクが、小さな芽を出していた。

(2021.10.22:コラム/遠藤洋次郎)

(第8回)そして収穫

第8回:そして収穫(2021.10月)
【コラボ企画】イロドリ畑/芋掘り体験
《「地球の子供食堂と宿題Cafe様」》
 (2021年10月16日(土)AM10:00-)

新潟の魅力を企画・発信する「新潟イロドリプラス」
フリーアナウンサーでありファーマー「遠藤洋次郎」

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「新潟イロドリプラス:メンバー2名」「農業指導:遠藤洋次郎氏」計3名にてイロドリ畑プロジェクト進行中です。

4月から耕し続けてきた「イロドリ畑」。
「地球の子供食堂と宿題Cafe様」と協力して、子供たちと芋掘り体験を行います。

収穫前日、プロジェクトメンバー3名で事前収穫テストを行いました。

今回育てた品種は3種類。「安納いも」「紅はるか」「紅あずま」。

それぞれの畑から芋を収穫し、調査しますと…少し小ぶりな様子。まだ若干早いようです。

ですが、その中でも「紅あずま」は、大きく育っており、子供たちも収穫の際の満足感が得られるのではないかと思い、急遽、1種類に絞った収穫イベントに備えます!

ちなみに「紅あずま」の特徴は、粉質でホクホクした食感があり、繊維質が少なく甘みが強いそうです。子供たちの喜ぶ顔が目に浮かびます。頑張らねば!


そして、当日。
「地球の子供食堂と宿題Cafe様」から子供6名。スタッフ1名。ボランティア学生2名。一般募集2名。イロドリメンバー3名。遠藤洋次郎氏の総勢15名が集まりました。

天候が少し怪しかったので、念のため用意した雨合羽を子供たちに着ていただきました。

畑のオーナー遠藤洋次郎氏による開会の挨拶
子供たち1人1人にスコップを手渡します
遠藤洋次郎氏による、芋ほりレクチャー

まずは、1個。お手本を子供たちに見せて、あとは、埋まっていそうな好きな個所を自分たちで選んで、レッツ芋堀り!!

「子供たちに笑顔と学びを」

収穫時には、雨は一切降らず。少し涼しい中、作業することができました。

良く行われている子供たちへの体験収穫イベントでは、楽しさをメインに苦労しないよう、事前に大人が、掘り起こしておくケースが多いのですが、今回のイベントでは、敢えて生の体験ができるような設えをして行いました。

その分、キツかったとも思いますが、農業についてを肌でしっかりと感じ、充実感を大きく得ることができたのではないかと思います。

自分で収穫した芋は、お家に持って帰っていただき、余った芋を、「地球の子供食堂様」にご提供させていただきました。
後日、食堂で収穫した芋を料理して子供たちに振る舞うとのこと。

畑を耕し始めたころは、ぼんやりと考えておりましたが、このような理想的な活用の仕方をすることができ、本当に満足しております。

ご協力いただいた「地球の子供食堂と宿題Cafe」の皆様、体験にきていただいた一般のご家庭の皆様、そして何より、畑のノウハウを1から手取り足取り教えていただいた「遠藤洋次郎氏」に心から感謝申し上げます。

ひとまず、収穫は終わりましたが、まだ収穫しきったわけではありません。残りについてもご報告して参りたいと思いますし、また来年の展望につきましてもチームで検討していきたいと思います。

プロジェクトに関わっていただいた皆様、大変おつかれさまでした!!

2021.10.16「イロドリ畑」にて


(第9回:その後(2021.11月)へ)に続く。


【バックナンバー】
第1回:大地に触れる(2021.03月)
第2回:設置する看板(2021.04月)
第3回:ついに植える(2021.05月)
第4回:また植える(2021.続05月)
第5回:そして見守る(2021.06月)
第6回:熱中と雑草(2021.07月)
第7回:芋ほり準備へ(2021.08-09月)
第8回:そして収穫(2021.10月)
第9回:さいごまで掘りつくす(2021.11月)

第47話 たのむぞ!サツマイモ!

 いよいよ明後日はイロドリ畑プロジェクトの芋ほり大会!

 今年の春植えたサツマイモをみんなで掘ってみよう!と言うことで、僕もワクワクしているけれども、ちょっと天気が心配。

 ずっと放置されていた畑、いわゆる『耕作放棄地』を何とか復活させたい!そんな僕の思いと、畑仕事を通して地域の魅力を発信していきたいと言うイロドリプラスの思いが合致して、昨年末くらいから「どうしよう?何をしよう?どんなものを育ててみよう?」と検討を重ねてきました。

 固くなってしまった土を、耕運機を動かしてほじくり返していく作業。マルチがけをして、そこに用意したサツマイモの苗を植えていく作業。ときおり様子を見ながら雑草刈りの作業。子供たちを交えて芋ほりをしていく作業を夢見ながら、およそ6か月がたちました。

 苗が土に根を張らずに、枯れてしまうものもいくつかありましたが、秋になって蔓の伸びも勢いを増し、見た目は立派なサツマイモ畑。一体どんなイモが土の中にいるのか?期待も膨らんできます。

 農業検定のテキストに書かれてあったことに、全国の耕作放棄地の面積は今、富山県の面積と同じくらいあり、その面積は年々増えているといいます。もちろんこれには農業をする人の高齢化、後継者不足の問題もあるし、畑を手放してそこに何か建物を建てると、緑の面積が減っていって、地球温暖化の問題にもつながっていく。

 芋ほりに参加する子どもたちにはそんな大仰な話でなくても、農業の抱えている問題についてちょっとでも感じてもらうことができたらいいな~と思っています。

いや、子どもたちには純粋に芋ほりを楽しんでもらいたい。

サツマイモはなどのイモ類は地中で育つので、外から蔓を見てもどんなイモが育っているのかは確認できない。実際に掘ってみるまで、イモの姿は見られない。カッチカチになってしまった土だけれども、果たして明日はどんなイモが出てくるのか?

思えばこの夏、雑草だらけの畑に愕然としながらも、鎌を片手に、いざ草むらの中に飛び込んでいき、汗をかきかき、蚊に刺されながら雑草を刈っていった日々を思い出します。

ラジオで高校野球の中継を聴きながら、「せめてこの試合が終わるまでは雑草を刈っていこう……」そう心に決めて一畝しっかり草刈りをしたり、あまりの暑さに途中で断念したり。

自分なりに面倒を見て、じっくり生長を見守ってきたイモたちだけに、気持ちは子どもを持つ親のよう。

明後日、子どもたちの笑顔があれば、きっとこの思いは報われるんじゃないかな?

たのむぞ!サツマイモ!

(2021.10.14:コラム/遠藤洋次郎)

第46話 来春に思いを馳せて…

カレンダーを見てみると、今年も残すところあと3ヶ月。

店先にはハロウィングッズが並び、それが終わればクリスマス、お正月と、商品の入れ替えが忙しい。夏が終われば秋冬の準備。秋が終わればもう来年のことの準備に取りかからなくてはならない。

書店や文具店に行くと来年のカレンダーや手帳が積まれている。

私は1月スタートの、やや大き目なビジネス手帳を毎年買って使っている。営業マンの頃から慣れ親しんでいるサイズの手帳で、企画の締め切り日や訪問先の時間などを記していたけれども、最近の用途は主に農作業の記録。

『今週は○○の種をまく』『肥料を購入する』などの備忘録として使っている。

営業マンの頃と比べれば、予定はスッカスカなので、大きなサイズの手帳である必要はないのかもしれないけれども、大きい手帳を持ち歩いていると、自分がなんだか“できる人”に思えてくるのだ。

毎年「早く手帳を買わなきゃなぁ」と思いながらモタモタしている間に年を越えてしまっているのだが、今年は違う。手元に来年の手帳を準備している。

これまでの農作業は『雰囲気農業』だった。

なんとなくこの時期に種をまいて、なんとなく肥料をまいたり雑草を刈って、なんとなくこのあたりの日程で収穫できたらいいなぁ…と言う、ふんわりした感じで、具体的な計画など立てていなかった。

そんないい加減なものだったから作業を忘れてしまうこともあり、雑草は伸びに伸び、追加の肥料をまくタイミングを間違え、収穫の時期を逸してしまうことも多々あった。

その反省から、今回はしっかりとした『営農計画』を立てようと、早めに手帳を購入してみた。

この秋に植えたタマネギやニンニクは畑の中で冬を過ごす。計画通りにいけば春に収穫ができる予定なのだが、その間に追肥の作業をしなければならない。

この追肥の作業のタイミングがよく分からない。それじゃあって言うことで、早速来年の手帳に追肥や収穫、農園の作業スケジュールを書き込んでみた。

書き込みながら、冬を越えて暖かくなった新潟の春の日に思いを馳せる。

明日のことなどわからない。その日その日をなんとなく生きている、行き当たりばったり、人生ノープランだった自分が、こんなふうに野菜作りを通して先のことに思いを馳せるなんて、ちょっとびっくりする。すっかり野菜たちに振り回される日々だ。

新しい手帳に『この日はデート』と書き込みたいけど、残念なことにその予定はない。

(2021.10.08:コラム/遠藤洋次郎)

第45話 イライラしてもしょうがない

9月中旬。陽射しには夏の名残があり、日中の最高気温は30℃近くまで上がるらしい。秋の風が吹き始めていると言っても、体を動かせばすぐに汗が噴き出てくる。

その日私は、タマネギの種の袋を眺めていた。

表には見事に丸々としたタマネギの写真。目指すはこれと同じ色、カタチをしたタマネギ。

そして裏を返すと、タマネギの栽培方法が簡単に説明されている。

9月中旬くらいから苗を育て、11月ぐらいに、芽が伸びたところで畑に植え替える。

なるほど。苗をつくるには今、このタイミングだ。

苗を育てるための小さなポットを用意し、土を入れ、種をまく。

タマネギの種は小さく、ちょっとでも風が吹けばすぐに飛んで行ってしまう。

作業は慎重に、丁寧に。細心の注意を払いながら種をまいていく。

同じ時期にまいたハクサイやチンゲンサイは1週間もたたないうちに芽を出し始める。ポットのところどころに小さな緑色の双葉が見えてくると思わず顔がほころんでしまう。

「うんうん。ちゃんと育っているな」

ところがタマネギは待てど暮らせど芽が出てこない。

今一度、タマネギの種の袋を見てみる。そこには発芽に適した温度が書かれてある。

『発芽の適温は15℃から20℃』

季節は秋とは言っても気温は軽く20℃を超えている。いや25℃を超え夏日となっている。

「種をまくのは9月の中旬。でも、種が芽を出すのに適した温度は15℃から20℃くらい」

???なんか、矛盾していないか?

タマネギは、とりあえず種は9月にまいておいて、気温が適温になると芽を出すって言うことで理解すればよいのだろうか?その辺、専門家の方に聞いてみたい。

そんな『?』を頭に浮かべながら、ジッと育苗ポットを眺めているところに、稲刈り作業をしていた近所の農家さんが声をかけてきた。

「何植えたの?」

「タマネギです」

「ああ、タマネギ。ウチもやってるよ!なかなか芽が出てこないからイライラすんだよね」

正直、芽が出てこないもんだから、少々イラっとしていたのも確かだ。でも、近所の農家さんも「イラっとしている」と聞いて、ちょっと安心した。

きっと効率よく育てる方法もあるんだろうけれども、畑仕事はジッとガマンの時も必要なのだと思う。

イライラしてもしょうがない。

(2021.10.01:コラム/遠藤洋次郎)

(第7回)芋ほり準備へ

第7回:芋ほり準備へ(2021.08-09月)

新潟の魅力を企画・発信する「新潟イロドリプラス」
フリーアナウンサーでありファーマー「遠藤洋次郎」

「新潟イロドリプラス:メンバー2名」「農業指導:遠藤洋次郎氏」計3名にてイロドリ畑プロジェクト進行中です。

畑を見守り続けて、はや9月。
気付けば来月(10月)には、さつまいもの収穫時期!!

あっという間に時間は経ち、
畑の様子はというと、、

なかには、育たなかったエリアもありますが、

綺麗に葉を付け、想像以上に綺麗に生えそろっておりました。

さて、今回のプロジェクトでは3種類の芋を植えております。

種類によって葉の形が違う。
分かりますかね?勉強になります。

師匠の遠藤氏に甘えて、事前に目立った雑草を刈っていただいておりました。しかし、この敷地の広さ。。本当に尊敬と感謝です。

葉は過剰に茂り、蔓(つる)が四方へと脇の地面へと伸び茂っておりました。
この蔓(つる)の根が、地面の養分を吸収していきます。それが続くと肝心の芋本体に栄養がいかないそうです。
つまり、放っておくと、蔓(つる)ばかり立派に成長して、芋がほとんどできない。
「蔓(つる)ボケ」っていう現象だそうです。

そこで、「蔓(つる)返し」っていう作業を行う。
横に長く伸びている蔓の先あたりを持って、思い切りバリバリと引きはがす。
この作業を定期的におこなうことが大切とのこと。

腰が痛くなり、キツイお仕事です。。

さて、来月の収穫に向けて、邪魔な雑草取りを行います。
農業を肌で実感するため、機械の力は使いません。
原始的にクワで雑草取りを行っていきます。

遠藤氏からご指導をいただきながら、

地味な作業が続きます。

もくもくと雑草を取り払らいながら。

画像や文章にすると、あっという間ですが、このような作業が何時間も続きました。

勿論、水分補給をしっかり行いながら。

今朝よりも綺麗になった通り道。

さつまいもは、しっかりと大きく育っているのでしょうか?
来月の収穫は果たして上手くいくのでしょうか??

「子供たちに笑顔と学びを」

すっかり当初の目的を忘れてしまいそうになる地味で過酷な農業体験。
4月から始まった「イロドリ畑プロジェクト」も、すっかり終盤戦。

気温と天候に恵まれることを祈りながら、本日の作業はここまで!
最後まで気を抜かず、プロジェクトを進行して参ります。

2021.09.25(土)


(第8回:そして収穫(2021.10月)へ)に続く。


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第5回:そして見守る(2021.06月)
第6回:熱中と雑草(2021.07月)
第7回:芋ほり準備へ(2021.08-09月)
第8回:そして収穫(2021.10月)