(第2回)イロドリ畑PJ

第2回:設置する看板(2021.04月)

新潟の魅力を企画・発信する「新潟イロドリプラス」
フリーアナウンサーでありファーマー「遠藤洋次郎」

小さなものから大きなものまで「大工のゆうちゃん」

「新潟イロドリプラス:メンバー1名」「農業指導:遠藤洋次郎氏」「新潟の大工さん」計3名でイロドリ畑プロジェクト進行しました。

・看板設置位置について
・次回のスケジュールについて


実践作業開始/看板を設置する

まず事前からアルミ板に「デザインした看板シール」を貼り付けておき、当日現場に持参しました。

こんな感じです。

あとは大工さんが、ちゃっちゃっと木にくっつけて、挿して完成!と、かなり短絡的に考えておりました。

が、そんなに甘くはなく!

どのくらいの高さに立てるのか。土の柔らかさ・深さに合わせて、木の長さを調整していきます。

今回、新潟イロドリプラスの新入会員候補生としてご協力いただく大工さん。
手慣れた様子で、木の棒をノコギリで切っていきます。

新潟イロドリプラスメンバーもノコギリでお手伝いしようとしましたが、真っ直ぐに切れず、大工さんが再度切りなおしておりました。ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。

切った木をハンマーで打ち付けていきます。

途中、大工さんも日頃の腱鞘炎から手首を負傷しており、代わりにメンバーが打ち付けを行いました。
場違いにも現場を甘く見積もっており、営業スーツのまま作業することになります。

前日の雨の影響で、足元は泥まみれです。

その後もテキパキと組み立て、ペンキ塗りと、スムーズな動きでお仕事される大工さん。あっという間に看板設置の完成です。

作業から僅か1時間!
先月から耕してきた大地が、「イロドリ畑」に変身しました。


お忙しい中、ご尽力いただいた大工さん。
そして、看板設置を一緒に見守っていただいた遠藤洋次郎氏に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

畑が完成したところで。次回!苗植え作業を行います。大仕事になる予感がしますが、引き続き、プロジェクト成功に向かって進んで参ります。

続きはこちらから
第3回:そして植える(2021.05月)へ


【バックナンバー】
第1回:大地に触れる(2021.03月)
第2回:設置する看板(2021.04月)
第3回:ついに植える(2021.05月)
第4回:また植える(2021.続05月)
第5回:そして見守る(2021.06月)
第6回:熱中と雑草(2021.07月)
第7回:芋ほり準備へ(2021.08-09月)
第8回:そして収穫(2021.10月)

(第1回)イロドリ畑PJ

イロドリ畑プロジェクト

新潟の大地で育った野菜から、収穫体験を通じて豊かな感性を学びます

「農業体験」×「おもしろい」
=「イロドリ畑


イロドリ畑プロジェクトとは

畑を耕し、種をまく。水をやり、雑草を抜き、芽が出た作物はどんどん大きくります。そんな育った野菜を収穫します。

子供たちには体験という遊びを通じて、土の感触・水の冷たさ・植物の感触などにふれあうことから、豊かな感性を身につけてもらう一助になれば幸いです。

新潟の食材を使った料理レシピ。
お店の方々、あるいは学生の方々に調理をご協力いただきながら、料理を楽しみ、発信していくことで、新潟の食材の魅力を少しでも多く届けることができればと考えております。

今回のプロジェクトは、農家の方にお任せするのではなく、素人メンバーが「1から土に触れ」、畑を耕すことからスタートしていきます。農業の大変さや、体を動かして感じる達成感、楽しさを発信していきたいと思います。


第1回:大地に触れる(2021.03月)

新潟の魅力を企画・発信する「新潟イロドリプラス」
フリーアナウンサーでありファーマー「遠藤洋次郎」

「新潟イロドリプラス:メンバー2名」「農業指導:遠藤洋次郎氏」計3名でイロドリ畑プロジェクト会議をおこないました。

・本日の作業内容について
・植える苗について
・収穫とその後について
・今後のスケジュールについて


実践作業開始/ローマは一日にして成らず

土の状態が土地によって異なりますので、野菜を作るには、まず土作りが大切です。新しい土を耕して野菜作りのために「良い土」にするには、手入れを繰り返し、改良していく必要があります。

土を起こす

まず土を起こすことから始めます。
クワなどで耕した「耕土」が深いほど、根はよく伸びて水分を吸収できます。「表面の土が下のほう」に、「下の土が上になるように」して土を掘り起こし、小石や雑草、木切れなどの雑物を拾い出しておきます。

整地と畝(うね)作り

土を耕したら、土のかたまりを砕きながら、表面をできるだけ平らにならし、畝(うね)を作ります。

※畝(うね):何本も間隔を空けて、細長く直線状に土を盛り上げた所のこと。

クワを持つのが初めての「新潟イロドリプラスメンバー」は、腰の位置も定まらず、終始へっぴり腰でした。大きく振りかぶって土に叩きつけていくイメージがありましたが、実際には、小刻みにザクザクと土の固まりを砕き、土を起こしていきます。

土を起こすと、土の見た目も明らかに変わってきます。


変わっていく様を楽しみつつも、少し作業しただけで身体はガタガタ。
素人が見渡す大地にむかって、クワ1本で戦い続けるには、あまりにも過酷。農家の方々は本当に凄いと感じました。

気持ちが切れそうなメンバーの前に登場したのが、耕運機マシーン。

遠藤洋次郎氏のコラムで、新潟では「耕す」を「ぶつ」と言うのだと書かれていましたね。
農園の土は固いので、何度か耕さなければならない。クワや耕運機マシーンを使って一気に耕す、とお話されていました。
農業コラム「第7話 忘我の境地」参照

遠藤洋次郎氏にご指導を仰ぎながら、マシーン初始動です!

ゆっくり、ゆっくりと真っ直ぐに歩いていきます。

”余計なことを考えると、ハンドルは右にとられ左にとられ、くねくねした畝(うね)になってしまう。アタマをカラッポに、ただ一心、畝をまっすぐ作ることに専念すればよい。
できあがった畝をぜひ見てほしい。だいぶ曲がっている。”

とも、コラムでお話されておりましたが。

素人には、良いのか悪いのかも分かりません。
遠藤洋次郎氏から、初めてにしては真っ直ぐだ、と仰っていただきました。本当に優しい洋次郎氏。

素人の私たちが疲れて休んでいるとき、洋次郎氏は横で、「ぶつ」のが甘かった箇所を整えてくださっておりました。感謝!


初めての経験で素人メンバーとしては、全てを成し遂げた気分でおりましたが、まだ畑を耕し始めただけのこと。これを何度も繰り返していき、苗を植える作業は、まだ先です。

序盤戦。ウォーミングアップの段階ではありますが、頑張ってプロジェクトを遂行し続けていきたいと思います。

最後に耕した畑を見つめながら、畑を横切った人でも分かる目印。
”イロドリ畑”って一目で分かるエッセンスが欲しいと感じました。

次回、「イロドリ畑の看板」を設置しようと思います。

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第1回:大地に触れる(2021.03月)
第2回:設置する看板(2021.04月)
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第4回:また植える(2021.続05月)
第5回:そして見守る(2021.06月)
第6回:熱中と雑草(2021.07月)
第6回:熱中と雑草(2021.07月)
第7回:芋ほり準備へ(2021.08-09月)
第8回:そして収穫(2021.10月)

第28話 生長のスピード

毎日のようにじっと、育苗ポットにまいた種から芽が出てくるのを見つめているけれども、これっぽっちも芽が出てこない。

「水が足りない?気温が低い?種のまきかた間違えた?肥料が少ない?なんで?なんで?」

確かに水が足りないのかもしれないし、外もまだまだ発芽に適した温度になっていないのかもしれない。肥料が足りないのも原因かもしれないし、種そのものに問題があるのかもしれない。

もちろん芽が出てこない原因は何かしらあると思う。

それでも、何で芽が出てこないのか。不安にもなるし、正直なところ、ちょっとやきもきしてしまう。

でも、いくら人こっちやきもきしたって、種には種の事情がある。こっちの思うようにいかないことの方が多い。

今日種をまいて明日芽が出て、明後日には実をつける。そんな人間様の都合のいいようにはできていない。冬にキュウリが食べられたり、夏にハクサイが食べられたりもするけれども、野菜にだって旬があり、適した環境で育ったものの方が美味しい。

5月になるとちょっと憂鬱な気分になる。“5月病”というくらいだから、みんなメランコリックな気分になるのかもしれない。

4月から新しい生活をはじめても、最初の思いや勢いはどこへやら。5月になってなんだか世の中の風当たりの強さや、慣れない環境に戸惑って、気分がダウンしてしまうことも多い。

きっと、他人と比較されて、自分が人よりも劣っているなんて感じてしまうのも、この時期なのかもしれない。確かに自分が社会人になったばかりの頃や、生活や仕事の環境が変わったとき、ちょっと気分が落ちてしまうこともあった。

「自分はなんで芽が出ないのか?」「なんで人と同じことができないのか?」

とかくスピード重視ですぐに結果を求めがちな昨今。確かに早く、正確に答えを導き出すことは大事だと思う。でも、土いじりをしていると、この「早く」というのが難しい。

その野菜にはその野菜なりの事情があるわけだし、こっちがいくらせっついたって、急に芽が出たり、実がなるわけでもない。発芽の勢いも違えば、実の付き方もみんな違う。やきもきしたってしょうがないのだ。

で、今回何が言いたかったというと……

人間だっていろいろだし、生きている環境もそれぞれ違うのだから、生長のスピードも人それぞれ。あまり結果を急がなくてもいいんじゃないかな?

育苗ポットを眺めながら、ぼんやりそんなことを思う5月なのでした。

(2021.05.07:コラム/遠藤洋次郎)

第27話 マルチがけの職人たち

いよいよ『ようじろう農園(旧PORT農園)』の活動スタート!

例年はゴールデンウィーク明けに活動開始となるのですが、今回は土づくりから参加者の皆さんに体験してもらいたいと思い、4月末からのスタートとなりました。

もともと、ラジオの企画としてはじまり、リスナーの皆さんと一緒に土いじりをし、夏野菜の収穫に向けて汗を流してみましょう!というコンセプトで続けてきたのですが、残念ながらラジオ局の閉局とともにこの企画も終了。

去年の今ごろは「農園企画は終わっちゃったな……」

と肩を落としていました。でも、参加してくれた方数名から、「農園はどうなるのですか?」「ぜひまた参加したいです!」というお声をいただき再開。FM PORTが遺してくれた財産として、農園企画は今年も10人ほどの参加者とともにスタートしました。

管理人としても、ひとり孤独に耕運機を動かしているよりも、野菜作りの仲間が集まってワイワイやるのが楽しい。先日も皆さんと顔を合わせて、一緒になって鍬を動かし汗を流し、おしゃべりもはずみ、初日はあっという間の1時間。

コロナの影響もあってかあまり人と接する機会が少なくなってしまった分、参加者の皆さんと顔を合わせたときのワタクシの喜びよう。いつになく饒舌になっておりました。

とは言っても、そこは真剣勝負な農の世界。四六時中しゃべり続けているわけではない。

おしゃべりしながらでも鍬は動かせるので、おしゃべりを楽しみながらも農作業は進めていけるのだが、ある瞬間、みな寡黙になる。そう。今回のミッション『マルチがけ』だ。

幅60センチの畝に黒いビニールのシートをかぶせていく。

この黒いビニールシートを『マルチ』と呼んでいるのだが、黒いビニールが太陽の光を受けて土の温度を上げたり、殺虫、殺菌の効果をもたらしたり、雑草を抑制するなどのいろいろな働きがあり、マルチがけは種まき・苗植えの前に行う野菜作りの重要な工程の一つである。

3人一組になって、一人がビニールシートを伸ばしていき、あとの二人で両サイドに土を盛ってビニールが飛ばされないよう固定させていく。

このときビニールシートがまっすぐになるよう慎重に伸ばし、両サイドの二人は呼吸を合わせながら土を盛る。どちらが先へ進んでもいけないし、後れを取るわけにもいかない。テンポよく、かつ丁寧にマルチがけを進めていく。

農園活動3年目。みな手慣れたものである。職人の顔つきになり、黙々と手を動かしていく。そして、まっすぐに張ったマルチを見てニヤリと納得の表情を浮かべるのだ。

マルチがけがうまくいくだけでも、その達成感はハンパない。

(2021.04.30:コラム/遠藤洋次郎)

第26話 計算ができない

どうしても除草剤や殺虫剤を畑に撒かなきゃならない。

どこから種が運ばれてくるのか、気がつけば畝にはいっぱいの雑草が生えているし、農作業は害虫との闘いでもある。

そこで市販の除草剤や殺虫剤を購入するのだが、この薬剤は水で薄めて使用する。

ではここで問題。


<問題1>

除草剤Aは、水で50倍に薄めて使います。30坪の畑に、100ミリリットルの除草剤Aを薄めて使うとき、水は何リットル必要になるでしょうか。

<問題2>

問題1で使用する除草剤Aの水溶液を、100坪の畑に撒くとすると、除草剤Aは何ミリリットル必要になり、また希釈する水の量は何リットルになるでしょう?

<問題3>

1坪は3.31㎡である。では除草剤Aを10㎡の畑に撒くとしたときの除草剤Aの量と水の量を求めなさい。


脳みそパーーーーン!である。

学生時代、数学赤点のこのワタクシに、文学部志望だったこのワタクシに、希釈して何リットルの溶液を作るのかなど瞬時に答えられるわけがない。紙と鉛筆があったって、正解を導き出せるかどうかわからない。

薬剤のボトルに記載された「使い方」を眺めながらも、頭は真っ白。思考は停止している。

「とりあえず…問題1の100ミリリットルの除草剤に水を…この場合は5リットルでいいのか?さて…ええっと…この畝は坪数で言うと何坪になるんだ?ちょっとまて、1リットルって何ミリリットルだったっけ?」このレベルである。

水溶液が薄いと効果は少なくなるし、濃すぎると畑への影響も

大きい。その“ちょうどいい量”を作り出すことに躍起になって、「あ、水の量が足りない、もっと増やそう」「しまった薬剤を入れすぎた!」などと悪戦苦闘を繰り返しながら、メモリの付いたバケツとにらめっこしている。

できあがった水溶液は噴霧器に入れ散布する。

その昔、容量20リットル、肩にしょって使うタイプ噴霧器を使っていたのだが、何を思ったのか、噴霧器満タンに殺虫剤の水溶液を作ってしまった。

水1リットルはおよそ1キログラム。

両肩にのしかかる20キロの重さに耐えきれず、その日私は、腰を痛めた。

(2021.04.23:コラム/遠藤洋次郎)

第25話 背後で奴らが狙っている…

いよいよ種まき、苗植えのシーズン到来!

春の陽気に包まれて、畑に吹く風も心地よい。体も動くし、かく汗も気持ちいい。
畑を耕しながら、ここにエダマメの種をまいて、ここはトマトの畝だな。この辺にナスを植えて、そうそうオクラはここに、と夏の収穫に思いを馳せる。

実は、畑にまいた種の全部が全部芽を出すわけではない。
なので、ある程度育てた『苗』をつくって、それを畑に植え替える。

園芸店に行くとトマトやキュウリの苗が売られているが、ある程度育っているので、芽を出すまでの面倒を見なくてもいいし、「芽が出るのかなぁ?」という心配もいらない。根付いてしまえばその後の管理も楽になる。

私も今、トマトの苗を作っている。

ポットに土を入れて種をまき、水を撒いて、じっと様子をうかがう
種をまいてから10日くらいたった頃、ようやく小さな芽が出てきた。

この芽が出てくるまで、心配な日々が続くのだが、土の中から小さな緑が顔をのぞかせてくると、思わず顔がほころんでしまう。

土いじりをしていると、こんな小さな変化がうれしい。

以前、エダマメの苗をつくろうと、種をポットに入れて日の当たるところに出しておいた。

エダマメの種はつまり、大豆である。

ポットの中で水を含んだ大豆が、栄養を吸い取り、あたたかな土の中に包まれて、やがて芽を出し根を張って、葉っぱを広げて、頃合いを見て畑に移し替える。

ひと通り育苗ポットにエダマメを植えて、ちょっと用事を足しに…と畑を離れた。

離れた時間は30分くらい。

用事を終えて畑に戻って来ると、なにやら、エダマメポットのまわりが騒がしい。

「ピーピーチュンチュン」聞こえてくるのは鳥のさえずり。

「ああああ!」思わず叫び声をあげる。

ポッドに植えたばかりのエダマメの種を、鳥たちがついばんでいるのだ!
エダマメの種と言っても、ポッドの中に入っているのはふやかした大豆である。
水を含んで柔らかくなった美味しい豆である。油断も隙もあったもんじゃない。

今年もエダマメの苗を作ろうと思っている。
苗づくりの作業をしている私の背後にいる数羽の鳥たち。

その姿はヒッチコックの映画『鳥』を彷彿とさせる。

(2021.04.16:コラム/遠藤洋次郎)

第24話 調理してしまえば

はからずも、ひと冬超えてしまったハクサイとブロッコリー。

気候も穏やかになり、春の日差しが降りそそぐようになったころ、白菜は丸くなることはなく、大きく葉を広げ、菜の花のような黄色い花を咲かせていた。ブロッコリーも放置して育ちすぎたのか、ボンバーヘッドなアフロのようになってしまっている。

さてどうしたものか。

農園の参加者が集まって、みな一様に頭をひねる。

「食べられるのか?」

不思議に思うのも当然だ。だって、スーパーに行っても青果店に行っても、こんな姿のハクサイやブロッコリーを見たことがない。

「食べてみましょうか…?」

おもむろに参加者の一人がそう言うと、ハクサイ(らしきもの)とアフロなブロッコリーの収穫が始まった。

かごいっぱいになったハクサイ(らしきもの)とアフロなブロッコリーを持ち帰ってもらったのだが、参加者のみなさんはどんなふうにして食べたのだろう。

我が家ではハクサイ(らしきもの)の葉っぱの部分と花をつけそうな先っぽのやわらかな部分とを刻んでオリーブオイルで炒め、茹でたパスタに和えてみた。

味付けは簡単な塩コショウ。

するとどうだろう。葉っぱの部分の食感は間違いなくハクサイであり、炒めたことによって花の部分の黄色が鮮やかになり、お皿に盛りつけたパスタに見事な色合いを加えていた。

一方、アフロなブロッコリーは細かく刻んで、ポトフ風に煮込んでみた。

固形のコンソメを入れ、ニンジン、タマネギ、ベーコンなどといっしょにじっくりと煮込む。

するとどうだろう。ブロッコリーはホロホロの食感になり、口に入れた途端に溶けてなくなってしまった。そして、寒い雪の下でじっと耐えていたからか、甘みが増していて、一口食べると野菜の旨みがスーと鼻を抜けていく。

「あれ?これ…美味しい!」

昔から食レポが苦手なのでこの味わいを表現するいい言葉が出てこないのだが、見た目や形がハクサイのそれでなくても、味はしっかりとしたハクサイだし、甘みを増したブロッコリーは煮込んだことでさらに風味を増したような感じがする。

どんな姿の野菜であっても、切って刻んで、煮て炒めてしまえば美味しく食べられる。

うちの農園の収穫の基準は「おいしそう」よりも「食べられそう」になっているような気がしてならないが、まぁ…それも…食品ロス問題の解消、と言うことにしておこう。

(2021.04.09:コラム/遠藤洋次郎)

第23話 ラジオの生活はつづく

4月に入り、本格的な畑シーズンがスタート!今年も夏野菜の収穫に向けていろいろな野菜を作っていきます!

暑すぎず、寒すぎずちょうどよい気候。晴れの日は麦わら帽子をかぶって、いざ畑へ!

でも喜びいさんで畑に行っても、平日の畑仕事は自分一人。正直なところ、誰ともしゃべらず黙々と、一人で鍬をふるっていてもなんだか寂しい。

ご夫婦で畑仕事をしていたり、家族総出で畑の準備をしていたりする光景を目にすると、ちょっとだけうらやましく感じてしまう。

決して一人が嫌なわけじゃない。でも、ふとした瞬間に、何とも言えぬ寂莫とした感じを覚えるのだ。

そんな時、心のよりどころになっているのがラジオである。

スマートフォンのラジオアプリを起動させ、「どうで一人だし、お隣さんに迷惑かけるわけでもない」とイヤホンをつけずに放送を楽しんでいる。

パーソナリティのおしゃべりが、ふとした瞬間に襲う寂莫とした感じを忘れさせてくれる。

そんな私も、ラジオの中の人だったわけで、おしゃべりをしながら、「僕の声を聴いている人は今何をしながら聴いているんだろう?」と思うことがよくあった。

朝の番組をさせていただいたときは、「今、出勤の車の中で聴いている人が多いのかな?」夕方の番組のときは、「帰りの時間かな?まだ仕事中かな?」深夜放送を担当していたときは「トラックやタクシーの運転手が聴いているかもしれない」などと、思いを巡らせながらしゃべっていた。

農家の方からもメッセージをいただいた。

「収穫しながら聴いています」「出荷の準備をしながら聴いています」「今日は暑かったので、晩酌はキンキンに冷えたビールをいただきます」などなど。

「今日も一日お疲れさまでした」とコメントを返していた農家の方からのメッセージだが、ふと思う。やっぱりみんな畑仕事をしながらラジオを聴いて、寂しさを紛らわせていたのかな?と。

そうでなくても、きっと畑仕事をしている皆さんに、ラジオは寄り添っていたのじゃないかな?と。

あと、ラジオを聴いていると作業の効率が上がるような気がする。おしゃべりや音楽を聴いているとテンションが上がって、作業がサクサク進む。

残念ながらラジオの仕事からは離れてしまったけれども、ラジオからは離れられない生活はまだまだつづく。

(2021.04.02:コラム/遠藤洋次郎)

第22話 ビールの誘惑

先日、畑の準備を…と土をほじくり返していたところ、出るは出るは!大量のナメクジ!しかも丸々と肥え太り、中には子どもの親指くらいの大きさのものもいる。

ナメクジが飛び出てくるたびに、「うわっ!でかっ!ええ!?ここにも?」と声を上げてしまう。土の中でぬくぬくとしていたナメクジどもがうごめいている。一匹ずつ指でつまんでは「えいっ!」と放り投げた。

ナメクジは悪食なので、畑のものは何でも食べてしまう。ようやく小さな芽を出した作物も、瞬く間にかじりついてダメにしてしまうのだ。

土づくりの工程の一つに、害虫の駆除がある。

害虫たちが悪さをする前、まだ卵や幼虫の時に対処しなければならないのだが、全部が全部駆除できるわけではない。なるべくなら農薬は控えたいし、そうかといって一つ一つ、それこそしらみつぶしにつぶしていくのも面倒だ。

種や苗を植えつける前に、まずはこのナメクジを何とかしなければならない。

ナメクジには塩をふりかければいいともいわれるが、畑に塩をまくことはできない。土の中の塩分濃度が上がってしまい、成分のバランスが崩れてしまうのだ。もちろんナメクジ駆除に特化した市販の殺虫剤を購入し畑に撒くという手もある。

他に何かいい手はないものか、といろいろ調べていく中で見つけたのは、ペットボトルにビールを入れた「トラップづくり」。そう、罠を仕掛けるのだ。

ナメクジはビールのにおいが好きらしく、ビールのにおいに誘われて、ペットボトルの中にポトリと落ちる。やがてナメクジはビールに海に溺れ死んでしまうという寸法だ。

作り方を見てみると『ペットボトルを半分に切り取って、中に飲み残しのビールをその中に入れ、畑に設置する。簡単に作れるので、ぜひやってみてください』と書かれてあった。

「ちょっと待て!ビールを飲み残すことなどありえない!注がれたグラスはカラにするのが私のモットーだ。ナメクジにくれてやるビールなど我が家にはない!」

「まったく。ビールを好むなんて、なんて贅沢な奴だ」と憤りを感じながら、晩酌用にと冷蔵庫に入れてあったビールを一缶取り出してみた。すると、さらにその奥に、何か月も入れたままのビールがチラと顔をのぞかせた。手に取ってみると、あらら賞味期限が切れている。

「待てよ?賞味期限が切れているビールならば、イケるか…?」

さあさあナメクジたちよ。春の宴とまいろうか。互いにビール好きとは気が合うじゃないか!ともにビールをあおり、この春を謳歌しようぞ!

私は悪魔の笑みを浮かべながら、空いたペットボトルにハサミを入れ始めた。

(2021.03.26:コラム/遠藤洋次郎)

第21話 サツマイモのスゴさ

春分の日。暦の上では春である。陽射しは春だけれども、まだ風はちょっと冷たい。

先日、耕作放棄地になってしまった畑に耕運機を入れてみた。

雑草だらけで、土も固く、耕運機の操縦もままならない。それでも何とか土をほじくり返すと、冬眠中であったのかもしれない、カエルが一匹ぴょこんと飛び出してきた。

こんなにカチカチの土の中でもいろんな虫たちもいたらしく、ほじくり返したそばから鳥たちがやってきて、なにやらついばんでいた。

さて、今回耕したこの畑で、今年は「サツマイモ」の苗を植えてみたいと思う。

というのも、サツマイモが非常にエンターテイメント性の高い作物だと考えているからだ。

幼稚園に通っていたころ、近所の畑に芋ほりにでかけた。

土の中からサツマイモの赤紫の肌が見えたとき、お宝を見つけたような感動があり、小さな手で土をかき出していくと、大小さまざまな芋がいくつも出てくる。

「うわぁ!サツマイモだ!」と無邪気に喜んでいたあの頃。芋ほりは宝さがしにも似た興奮が味わえる。そう、今年はサツマイモづくりを通して、この興奮を味わいたい!

サツマイモは何と言っても、栽培するのに手間がかからない。

肥沃な畑ではなく荒れたところでも十分に育つところも心強い。

その昔、日本を襲った飢饉の救世主であったことも忘れてはならない。

もちろん栄養もたっぷり。デンプンを多く含み、ビタミン、カルシウムも豊富。そして食物繊維を多く含んでいてお通じにもいい。

食べ方もバリエーションが多く、そのまま焼いたり蒸かしたりするだけで食べられる。

ご飯に混ぜてもいいし、味噌汁の具にもなる。カラッと揚げたサツマイモの天ぷら、大学芋。旬の時期にはサツマイモのモンブランと言ったスイーツもケーキ屋さんの店頭に並ぶ。

さらには、芋焼酎という美味しい酒にもなるのだから、サツマイモのポテンシャルは高い。

ちなみに、サツマイモにもいろいろな種類があって、代表的なものにホクホク系の「ベニアズマ」、しっとり系の「べにはるか」がある。

「べにはるか」はじっくり寝かせるとしっとり系からねっとり系に代わっていき、糖分が増えてより甘みが増す。今年はぜひ、この「べにはるか」をたくさん収穫してみたい。

(以下、ここからまたワタクシの妄想)

そして僕は、はるかとの甘い時間を過ごすのだ。ねっとりとからみ合う蜜月のひと時。

「はるかさん…僕は君とこうして(食べて)いる時間がとても幸せなんだ……ああ、はるか」

いかんいかん。エダマメが嫉妬してしまう。

(2021.03.19:コラム/遠藤洋次郎)